プレミアリーグに属するクラブのアカデミー(下部組織)でコーチしている人に言わせれば、その選手が将来一流になるかならないかは、大体10代前半か半ばまでに決まるそうだ。それまでにある程度「見られていない」場合は、夢の無いような事だけど、それまでと言う事になる。
以前の日記にも登場してきたサイモン・クリフォード氏も言うように、環境が良いだけじゃサッカーは上達しない。練習方法や考え方を変えないと・・・・・。確かにそれだけじゃ駄目だけど、良い環境、システムの中でプレーをする事は、上達するためにとても重要と僕は思う。
正直、そんな環境の中でプレーしている自分から言わせてみれば、クリフォード氏の言いたい事も良くは分かる。環境の良さに対して、他の面での「質」が着いて行っていないという事。しかし、やっぱりここにある環境を、それはそれで見習って、そして日本にも将来持って行きたいものだ。
イングランドの育成年代のシステムは、「初心者選手」から将来を有望されている「エリート選手」まで一つの線でしっかり繋がられている。イングランド国内のそれぞれの地域ごとに、エリート選手、つまり「プロ選手になるための道」(pathway)が物凄くはっきりとされているのだ。
まず、10歳以下の初心者は大体自分の通う地元の学校でまずサッカーをプレーし始める(とする)。そして地元に複数ある学校の中で目立っている選手は、次に学校付近のクラブチームへとスカウトされる。このクラブチームは「チャータースタンダードクラブ(Charter Standard Club)」と称され、イングランドサッカー協会の定める「ある規定」を満たしているクラブであり、学校の次のレベルに当たる。イングランド国内に約2500クラブあります。
このチャータースタンダードクラブは(協会の規定を満たしているから)学校よりもプレーする環境が良く、つまりは上達への次なるステップと言う事だ。僕が現在所属する国内9部のクラブは、このチャータースタンダードクラブであり、ジュニアユース、ユース、女子サッカーのチームをそれぞれに持っている。
そして、そのチャータースタンダードクラブで目立っている選手(と言ってもまだ10歳前後)は、次に家から一番近い「FAコミュニティクラブ」と称される次のステップのクラブへスカウトされる。この「FAコミュニティクラブ」は、これまた協会の定めるより厳しい規定を満たしているクラブであり、チャータースタンダードクラブより、レベルが一つ上という事になる。国内に約500クラブある。
そして、そこで目立っている選手は最後に、家から一番近いプロチームの下部組織へとスカウトされて行く。これが育成レベルの最終段階、最高峰だ。
こうして、学校のチームからプロの下部組織まで一つの決められた道(pathway)がイングランドには存在している。だから、プロのコーチが言うように、活躍している若い世代の選手は必ずスカウトに「見られ」、ステップアップしていくのだ。プレミアのスカウト達は、一夏に大体、千人単位の若い選手を見ているようです。
今僕が説明した、「プロへの道」は図で見ると分かりやすいので、ここの14ページを参照してください。
イングランドサッカー協会は、イングランドサッカー界発展の為に、チャータースタンダードクラブと、FAコミュニティクラブの数を増やす事を推薦しており、それぞれの規定を満たしたクラブには見返りとして、サッカーボール、フラッグ、ビブス、ユース代表の試合のチケットなどをクラブへ寄付している。
以上が今現在イングランドに存在する育成システムだけど、プロクラブの中には、例えばアフリカなど、海外に自分のクラブの下部組織を創り、そこで選手を育成しているクラブも出てきている。その方が、物価の高いイギリスで育てるよりも安く済み、身体能力の高い黒人選手などを育てる事が出来るというのだ。
それに加え、若手選手のマーケットがイングランド国内から世界中へと一気に広がってしまったがゆえ、現在では下部組織にも外国人選手が増えてきています(日本人選手も所属しています)。
選手が一度、シニアレベルになったら、あとは一つの同じで〜っかい包括的なピラミッドの中に入る。プロの下部組織でプレーしていた選手でも、必ずそのままプロになれるわけでは無いので、なれる選手はプロクラブに、なれない選手はアマチュア、セミプロクラブにそれぞれ流れてゆく。
日本では、だいたい高校、大学を卒業したらサッカー、スポーツを同じようにコンスタントにプレー出来る環境がまだ十分には無い。近年になって増えてはきているが、高校、大学までの許容量にまだまだ追いついていないのが現状じゃないかな。


