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2005年09月23日

ボスマン判決がもたらしたもの

イングランドのプレミアリーグでプレーするトップレベルの選手の中には、週給(日本円で)数千万円を貰っている選手もいる。毎回の契約更新時に選手達は、それまで以上の高額な給料をクラブ側に要求し、選手の給料は、例えば1994年から2003年までの間にプレミアリーグの選手の給料は550パーセント増加したように、どんどん上がってきてる。

週給数千万円って・・・・。って思ってしまうけど、選手はそれでも満足しないみたいだ。例えば、マンチェスターユナイテッドのDFでイングランド代表選手のファーディナンドは、「自分は週給20000000万円以上の値打ちがある」と言い、しぶしぶ週給20000000万円の契約更新にサインしたよう。

そんな感じで、特にイングランド人選手の給料は金額が高い。

では一体何がどうなってこんなにまで選手の給料が増加したかと言うと、その起源は1990年までさかのぼる。

その前に、それまでのイングランド国内の移籍のルールを見てみよう。

1963年まで、イングランドの選手は契約期間が終了しても、移籍先クラブから移籍金が支払われない限り、クラブはその選手を取り留めておく事が出来た。これは選手の流動性を高めないようにするため、また選手の給料の増加を防ぐために設けられたシステムだった。

しかし、その後このシステムは、高等裁判所の裁判で「正当でない」との判決が下り、1977年にルールが変わり、契約期間の切れた選手は移籍金無しで自由に移籍出来るようになった。

この場合、契約終了時にクラブが、それまでと同じ金額の給料を選手にオファーすれば、移籍先クラブに対して移籍金を要求出来る資格を持つ事が許された。もし、両クラブ間で移籍金が決まらない場合は、裁判所が適切な移籍金を決めていた。なので、この頃は選手の代理人は移籍金については何も出来なかったと言う事。

そして1990年、ベルギー一部リーグでプレーしていたボスマン選手が、契約終了と同時にフランスのクラブへ移籍したいとなった事から発端は始まる。それまで、国内の移籍については契約終了時の移籍の自由が認められたが、海外への移籍に対してはこのシステムは通用しなかった。

なので、ボスマン選手を手放したくなかったそのベルギーのクラブは、移籍先のフランスのクラブに対して莫大な不可能に近い移籍金を要求したのだ。結局ボスマン選手は、希望していたフランスのクラブへ移籍は出来なかった。

これに対してボスマン選手は、このシステムはヨーロッパ連合の法律に違反するとして、ヨーロッパ司法裁判所に訴え、裁判の結果、これも「不当である」となり、1995年にヨーロッパ連合圏内であれば、契約が終了した選手は移籍金無しで自由に移籍出来るようになった。これが俗に言う「ボスマン判決」です。

これは、トップレベルの選手は個人的に各クラブと契約更新の交渉が出来るようになった事を意味している。

例えば、移籍終了間際の選手に対して、クラブが契約更新する場合、つまりクラブに居残って欲しい場合、選手はそれまでの契約より良いものをクラブに要求出来る。もし、その選手が要求した金額に応じる事が出来なければ、選手を手放す事になってしまう為、このボスマン判決によって選手は絶対な力を持つ事になる。

1995年のボスマン判決によって、イングランドでは、それまでのイングランド国内からヨーロッパ連合圏の国へ移籍の市場が一気に広がり、外国人枠を持たないイングランドサッカー界には他のヨーロッパ諸国よりも多く外国人選手がプレーするようになった。

また、これによって小規模の各クラブは将来性のある若手選手と4年、5年の複数年契約を結ぶ傾向になった。その選手が熟す頃には、ビッグクラブからオファーがあり、移籍金を獲得する事が出来るのだから。

それから2001年まで、特にプレミアリーグのクラブは国内よりも安い海外(EU圏)に目を向けるようになり、イングランドサッカー界には外国人選手が増加した。これによってイングランドの若手選手のレベルアップに悪影響を及ぼした事は多分間違いない。

そして、また新しい移籍のルールが2001年に作られた。ベルギーでプレーしていたハンガリー人の選手が、契約終了時にフランスのナンシーへ移籍する際に、ハンガリーはヨーロッパ連合では無かったので、ボスマンルールは適用されないとなった。

結果、その選手はナンシーへ移籍する事は出来なかった。これでまたもやヨーロッパ司法裁判所に訴えが行き、こんどはヨーロッパ連合だけの問題では無くて、FIFA、UEFA、ヨーロッパ委員会をも含む裁判になってしまった。

そして結果、FIFAは移籍のルールを変える事になり、「ボスマン判決」は全世界に適用する事になった。この新しいルールには「23歳以下の選手に対しては、契約終了時の移籍について、移籍先のクラブから埋め合わせ金を受け取る事が出来る」などがある。

これによって、イングランドサッカー界への外国人選手はの移籍は一気に増加した。そしてとどまりを知らない選手の給料は徐々に増加し、現在のような週給数千万円になったのです。

外国人選手が増えた事によって、プレミアリーグの質が上がったとの良い見方も出来るけど、全体的に見た場合、果たしてどっちなのだろう。それまで移籍金というのは、そのまま選手育成費用になったり、グランドの設備だったりして、「ピッチ上」にそれが結果として現れていたのだけど、無くなった事によって、その質も落ちてしまった。


さて、これを書いている今日、今期からプレミアリーグに参入したウィガンの会長が、給料の上限や選手のサラリーキャップ導入を強く支持していました。

給料に上限を置けば、選手の給料に収入の半分以上を費やし赤字になる事も無くなり、選手の給料を各クラブに均等に分配するとかしなければ、もはやチェルシーのようなクラブに太刀打ち出来ないと言う。

要は、「稼いだ分以上に費やすな。もし仮に費やしてしまい赤字になりお金を借りるなら、返せる以上の金額は借りるな」って事なんだろうけど、なかなかどのクラブもそれが出来ないようだ。だから赤字のクラブが多くなっているんだろう。

しかし、サラリーキャップを仮に導入した場合、プレミアリーグの選手はサラリーキャップの無い他のヨーロッパのリーグへ移籍してしまう可能性が強いと懸念されているけど、選手のクラブに対する忠誠心ってのは、所詮そんなものなのかね。

参考文献: ノーマンチェスター卿フットボールリサーチセンター

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これは2005年09月23日 19:50に投稿された日記です。

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