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2006年03月30日

イギリスのエリート主義とアマチュア主義

オーストラリアのメルボルンで開催されていたCommonwealth Gamesが終わった。オリンピックとは違い、この大会にはイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランド、マン島、ジャージー、そしてガンジー島と、イギリスを構成する国はそれぞれの国の代表として出場しました。

大会結果は、オーストラリアが221個のメダル(内金メダル84個)を獲得しぶっちぎりで一位。そして二位に110個のメダルを獲得したイングランドがきている。イングランドにメダル数で倍の差をつけたオーストラリアは流石に凄い。エリート選手育成に力を入れているだけある。。

今回はそんなエリート主義について。

イギリスのスポーツポリシーは、1980年代から90年代にかけて、それまでの人種、性別、階級、身体障害、年齢などに関係無く「全ての人にスポーツを」と言う考えの「Sport for All」からエリート選手育成へのエリート主義的な方向へ変わってきた。

近隣のドイツ、ソビエト連邦の世界大会での成功を尻目に、イギリスも世界大会での成功(オリンピックでのメダル獲得)に力を入れるようになったのだ。

世界大会でのスポーツの成功は、国の名誉、国民(国家)の満足感、国家統一、経済的な利益(世界大会の開催地になったり)、それに加えグラスルーツレベルのスポーツの参加率を増加させる(国の代表選手の活躍に刺激されて・・)事にも繋がり、様々な利益がある。

イギリスで、エリート選手へ力を入れ始めるようになった最大のきっかけが、1994年のThe National Lotteryの出現と、アトランタオリンピックでの悪成績の二つ。ロタリーは、(今までにない)莫大な金額をエリート選手へ費やす事を可能にしたため、エリートレベル発展の最大の助けになっている。

施設と言う面から見れば、トップアスリートの練習時間や場所を増やす事に成功したり。個人の利益目的の為に、国が開催する国内の大会よりもお金になる、企業スポンサーが主催する大会へ出場するようになった選手と、(それを防ぐ為に)契約を結んだり。

練習に没頭出来るように、選手個人に金銭的な援助をし、フルタイムのアスリートを作り出したり。指導者育成の為のシステムを作り出し、フルタイムのコーチも出現したり。

このようにロタリーからの後押しもあり、エリートレベルのスポーツが急激に発展してきた訳だけど、スポーツの発祥地、アマチュアリズムの発祥地イギリスでは、依然アマチュア主義の考えが存在し、これがエリート選手育成の最大の妨げになっているのだそうだ。

エリートレベルばかりに焦点を当てて、グラスルーツには全然力を入れてくれない!という批判が、グラスルーツレベルから上がっている。一般の施設は、それまでの一般使用者優先から、エリート選手優先で使われるようになったり、エリート選手だけが国からの援助で生活を保障されたりが現状なのだから。

アマチュア選手とは基本的に、「何の利益も無しで、ただプレーを楽しむ」ものだから練習はしない。これがアマチュアリズムの根本的な考え。

だから、アマチュアリズムが強かったイギリスでは、指導者の発展は、とてもとても遅れていた(いる)のです。練習を必要としなければ、指導者は必要とされない訳だから。

そして、イギリスのエリート選手発展の妨げは、グラスルーツレベルやアマチュアリズムとの緊張だけでなく、スポーツを取り巻く組織のあり方にも問題があるみたいです。

それは、イギリスとは、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの四つの国からなる国であるため、各四つの国にそれぞれのスポーツを仕切る組織が存在したりする。これが最大の問題。

そんな状態では、その組織の何かに対する役割が、(これはイギリス人と仕事をしている日本人は痛感しているのか!?)他とカブってしまったり、逆に誰も手を付けなかったりしてしまう。

選手選考の際にも、サッカーやラグビー以外のスポーツの世界大会では、イギリス人選手はイギリス代表として出場する。そんな現状では、同じ国と言えど、ライバル心は心の奥底にやはりあるので、上手く公平に行われはしない。

イングランドとその他の三つの国との関係は、日本と中国、韓国のような関係と同じと言っていいと思う。そこには同じように変なライバル心、優越感があるのです。

そして、「イギリス」としてスポーツを仕切る組織の、各四つの国に対する力の入れ方も、接し方もイングランドを優先にしていて、公平には行われていないのが実際のところ。

特にイングランドは他の三つの国に比べて色々な面で力を持っている為に、「イギリス」を仕切る組織にもブイブイ言わせており、イングランド的な考えで物事が動いているとも言えるそうです。

なので、組織のあり方がとても「複雑」なイギリスでは、組織間の緊張、意見の食い違いがあり、それがエリートの発展、スポーツの発展の妨げになっているという事らしい。今になってようやく、この組織のあり方、役割をもっと明確化する為に国が動いているけども。。

イギリスのエリートレベルの発展は、グラスルーツレベル、アマチュアリズム、そして組織間の「緊張、食い違い」(不公平さ不明確さ)が妨げにはなっているものの、スポーツの成績は世界でも5位に位置しているそうです(199年)。

しかし、それでも国内総生産と人口を考慮すると、オーストラリアなど他の国よりもメダルの獲得率は低いようだ。そこでイギリスは、より効率良く、より効果的にエリート選手を生み、メダルを獲得するために色々な見直しをしてきている。

まず、どのスポーツに経済的な援助をするか?

まず、その質と数を考えなければいけない。これまでのイギリスのスポーツポリシーは、その質や価値は無視して、とにかくメダルの獲得数を増やそうとしてきた。世界人気のスポーツでメダルを取る事は、当然人気のあまり無い、選手人口の低いスポーツよりも難しい。だったらあまり人気の無いそれらのスポーツに力を注いで、メダルを効率よく取ってしまおうと考えてたようだ。

しかし、それだけでは一番最初に挙げた、エリート主義の意義である「国民の満足感」や名誉はあまり満たされない。

獲得したメダル一つとっても、イギリスにとってそのメダルの質(価値)は、そのスポーツがどれだけ世界で、国内で人気があるか、どれだけそのスポーツに投資してきたか、でバラバラだ。いくら数を増やせても、それがあまり人気の無いスポーツであったら、質は下がってしまい、国民の「満足感」は低いと言う事だそうだ。

だからこれからは、質と数両方を考慮しながら、経済面の力の入れ方を考えなければいけないと考えているんだって。

そして次に、エリート選手を育てる為の明確なシステムを作り上げる事。

スポーツに限らず、その道のエリートになれるかならないかは、大体どのあたりで決まるのか?これは科学的な見方もしなければいけないと思う。

まず、イギリス人が最初にスポーツに触れる場所というのは学校だ。そこから良い選手は地元のクラブチームに行ったり、サッカーで言えばアカデミーにスカウトされたりしてエリートの道を進んでいく。

そこでイギリスは、学校と協力してエリート選手育成に力を入れて行くようだ。

小学生レベルではまず、「スポーツの肉体的な読み書き」をさせる。そしてどんな才能があるかを見分ける事に重点に置く。中学生レベルでは、その才能がどのスポーツに適しているかを見分けリクルートする。その次に、才能を買われた選手は、その才能に合うスポーツを専門的に強化する。そして最後にはトップレベルでプレーすると言う感じの明確なシステムをイギリスは考えているみたい。

イギリスでは「練習する事」にあまり価値を見出していなく、試合ばかりに重点を置いていた事が、このような戦略的なシステムを作り上げた理由でもあるみたいです。

様々な緊張がある中で、エリート選手育成に力を入れているイギリスは、スポーツの世界大会でより良い成績を上げ、国民の満足感を満たしていく事が出来るのでしょうか。

・・・と考えていた時にちょうどCommonwealth Gamesが終わった。イギリスは、ある種目では良い結果を残しているが、陸上競技などではまだまだ結果が出ていない。

でも、かのマイケル・ジョンソンは、Commonwealthでの成功なんて本当の成功では無いって言ってるくらいなので、今回の大会での結果はあまりあてにならいのかな。

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これは2006年03月30日 15:08に投稿された日記です。

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