« スタジアムを最大限に利用する為に | メイン | Sporting vs Lordswood FC~サッカーDNAの違い »

2006年12月01日

サッカークラブの目的って何?

シマンスキ教授がThe Sports Economistの中で言っていたけど、UEFAがEUと協力してまた新しい規定をプロポーズするようだ。その規定とは、クラブは収入の70%以上を選手の給料に費やしてはいけないと言うもの。でも、この規定がクラブ間の格差を無くす為に、そしてクラブを健康にする為に一体どれだけ有効なものなのか。

Szymanski教授が言っているけど、これは例えばチェアマンからのお金は「収入」とカウントされないようだ。だからチェルシーのアブラモヴィッチからのお金は関係無いと言うことになる。

アブラモヴィッチの出現で懐が潤ったチェルシーは、捨てるようにお金を使っているのは皆さんもご承知の通り。去年一年間のクラブが出した赤字は約300億円

こんなお金の使い方をしているチェルシーというクラブの、そしてアブラモヴィッチの目的とは一体なんなのでしょう。

クラブの目的はリーグ規定やスポーツリーグを作る上で重要な要素になる。このトピックについては、1971年にサッカークラブのUtility Maximizerを初めて定義したP.J. Sloaneから始まり、長く議論され続けている。

スポーツクラブの目的とは一般に二つに定義される。一つはクラブの効用を最大限にするUtility Maximizer。このタイプは、勝率や観客数を最大限にする事とされているが、近年ではもっぱら勝率を最大限にする事こそがUtility Maximizerとされている。

そしてもう一つがPofit Maximizer。これは一般の企業と同じで、利益を最大限に作る事を目的にしているクラブ。この場合、試合に勝とうが負けようが関係無い。利益を最大限に出来れば良しという考え。

一般に言われているのが、ヨーロッパのサッカー(スポーツ)クラブはUtility Maximizerであり、アメリカンスポーツのクラブはProfit Maximizerという事。これは各大陸のスポーツリーグの規定、構成がかなり影響している。

この多くの文献で定義されている解釈で行くと、チェルシーはどっちに当てはまるのか。Utility MaximizerかProfit Maxか????

300億の年間赤字を作っているのだから、利益なんて全く追求していないでしょうと言えるのか。はたまた、選手に費やすお金とリーグ順位(勝率)は比例するのだから、勝率を求めるUtility Maximizerでしょう。と言えるのか。

自分が考えるUtility Maxmizerは、言いたい事は結局同じかもしれないけど、またちょっと違う。

日本語でUtilityと検索してみると、「効用」と出てくる。「効用」とは、客を満足させる能力の度合いとある。その度合い、つまり効用が高ければ高い程、客は満足する。

だから効用を最大限にするとは、つまり客を満足させる事を第一優先にする事と解釈出来る。この場合、サッカークラブの客を満足させるものとは勝率だけでは無いと考える。

ではサッカークラブの客って何なのか。今の時代、クラブの客は試合を見に来るサポーターに限らず、スポンサー企業、TV会社(メディア)、選手(アマチュアクラブの場合に限る)、クラブの株主、そして時には監督もスペクテイターになってしまうなんても言われている。

一般企業について言える事として、株主を満たす為には利益を上げなくてはいけない。彼らを満足させる為には利益を作る必要がある。

株主を満足させる能力の度合い(効用)を最大限にするとは、つまりProfit Maximizationという事になるんじゃないか?だから利益を最大限にする事も、Utility Maximizerの目的の一つと考えられる。と自分の解釈ではなるのだが。

以上が自分の考えるUtility Maximizer。

でも、かと言ってじゃあチェルシーやマンUが利益を最大限にしようとしていると言いたい訳では無い。上場していたからと言って利益を最大限にしているとは限らない。利益を作ると最大限(maximize)は別物だから。

それに、サッカークラブの株主が利益を完全に追求しているかどうかは不明なところ。やっぱり彼らの満足度は、「クラブの株主でいる事」で満たされてしまうのではないか?つまりやっぱり趣味感覚が強いと考える。それによって得られる、お金以外の物で満足している。

だから上場クラブであっても利益を出さないクラブが多いのではないのか。

ん?ちょっとまてよ?

だったら結局はサッカークラブのutility maximizerとは勝率を最大限にする事となるのかも(笑)。その辺りがやはりサッカークラブと一般企業の違いでもあるのかな。スポーツには、そこにピッチがあるのだから。

ところで、もし仮に利益追求型のサッカークラブが存在するとしたら、どうやってそのクラブが利益を最大限にしようとしているのか?を知る事が出来るのか。

この前のSzymanski教授のセミナーで習ったんだけど、クラブの歴史、立地、ファンのロイヤルティなどの背景はそれぞれ各クラブによって様々だけど、それらを考慮した場合、選手に使うコスト(給料)を下げた時の方がクラブの利益が増える時があるのだそうだ。

ここまでコストを下げたら利益を最大限にする事が出来るというポイントを、各クラブが知っているのかどうか?それを無視している場合は利益を最大限にしているとは言えない。例えば、マンUは利益を作ってはいるけど、最大限にしているのかは分からないところ。

だったらやはり利益を最大限にしているかどうか何て分かりえないんじゃないのかな。外部の人間が知る方法(リサーチ方法)なんかがあったら是非とも教えて頂きたい。


話しをチェルシーに戻すけども、自分にはチェルシーが何も考えずにただお金を使っているとは到底思えない。

クラスメイトのHidekiさんが言ってたのだけど、チェルシーはもしかしたら、マーケット(ファン層)の拡大の為にダンピングしているのかもしれないって。丁度ソニーがプレステを赤字承知売っているのと同じように。

だったら結局最後に行き着く先は、利益の最大限??いや、違うか(笑)。やっぱりサッカークラブにはProfit Maximizerなんて存在しないんじゃないかと自分なんかは思っている。

マンUは過去に既にこのベースが出来あがっている。だからあそこまで「凄まじい」サッカークラブでいる事が出来る。マンUを知れば知るほど、その凄まじさが分かるくらい凄まじい。

さて、このUEFAの新しい規定がもし仮に導入されれば、クラブの目的も変わってくるのか。逆に言えば、こういう規定はクラブの性質を見抜いた上で決める必要もある。

このサイトはブログランキングに参加しています。この記事がグッドだったら一票お願いします。投票する!

About

「Yamatogokoro.com」は、イングランドのサッカーセミプロリーグ(通称ノンリーグ)でプレーしながら、ロンドン大学バークベック校修士課程にてスポーツマネジメント&サッカービジネスを学ぶ著者による「イングランドサッカー留学日記」です。スポーツ、またはサッカーをピッチ上(選手として)とピッチ外(学問、ビジネスとして)、そして一ファン(消費者として)からの視点で語っています。続きを読む・・・。

............................................

これは2006年12月01日 23:14に投稿された日記です。

ひとつ前の日記は「スタジアムを最大限に利用する為に」です。

次の日記は「Sporting vs Lordswood FC~サッカーDNAの違い」です。

他にも多くの日記があります。メインページ過去の日記一覧も見てください。

Nitch.netUK infoYamatogokoro.com~イングランドサッカー留学日記~
このサイトへのご意見、その他著者への連絡はこちらまで。© 2007 Yamatogokoro.com All rights reserved.