今日のThe Economics and Governance of Professional Footballの授業は、ご近所でもあり、同じロンドン大学に属するインペリアルカレジからStefan Szymanski(ステファン・シマンスキ)教授を迎えて行われた。バークベックの卒業生でもあるステファンは、スポーツ経済学の世界では超有名な方なので、3時間もそんな彼の授業が聴けて、お腹は空いたけど心は一杯です。
チチェスター大学時代からずっと彼の文献を読んできた自分にとって、ステファンの授業を目の前で聴けた事は、好きな小説家に初めて面と向かって会えたような、そんな感じだった。まさか目の前で授業が聴けるなんて想像もしてなかった。
小説家や文献の著者って、表に出ない人が多いから、「どんな人物なのか?」その辺りは不透明で、本を読んでいくうちに勝手な想像が自分の中で膨らむだけ。良い書物に出会えたとき、「こんな内容の物を書く人物って一体どんな人なんだろうか・・」って俺はワクワクしてしまうタイプだ。
授業はまず、「スポーツはどうやって現代スポーツへと変化したか?」から入っていった。「そこをまず最初に知っておかないと駄目だ。なぜなら、「ヴィクトリア朝時代にパブリックスクールから生まれた」だとか、色々と間違って身につけている人が多いから。」ってステフは言う。
その後、アメリカ式とヨーロッパ式のスポーツリーグスタイルについて、法律にも触れながら、その妥当性なんかを説明してくれた。
それから彼の授業は続いた。
彼はとんでもないカリスマで、ちょっと怖いくらいだった。学生に対して、あそこまで厳しく、率直に「違う!」とか「それは間違っている!」って言う教授は初めてだった。
ステファンに質問をすれば、彼の頭の中から今までに聞いた事の無いような知識がどんどん出てくる出てくる。スポーツ経済学とスポーツビジネスの打ち出の小槌みたいだった。あの頭の中はどうなってるんだろう・・・・。
そして、自分の無知さを痛感しまくった。教える立場、あのレベルまで達するには、まだ×100勉強が足りないんだって。それが今日のその3時間の授業内で得た事の一つ。
スポーツ経済学は自分にとって楽しい。それは、スポーツは普通のビジネスと違うから。その一番の理由、根本にあるものは、スポーツはライバル(対戦相手)がいないと、商品として売れないという事実から。
そこが、スポーツビジネスと一般ビジネスの一番の違い。それがNeal(1964)の言う一風変わった経済である。
ステファンが今日言ってた、経済学とは「人々が何を欲しがっているかを理解して、それを与える事だ」って。
だから、その「変な経済」の中で、そんな経済学を考え、スポーツ、特にサッカー界の発展を考えていく事がつまりはスポーツ(サッカー)経済学なのだろうと、自分の理解。
でも、今日ステファンを目の前にして彼の話を聴いてて思ったのが、やっぱりサッカー、特にイングランドのサッカーは、経済学なんかでは語れない、もっと深い感情的な何かがあるという事。
ステファンのようなレベルの人間にも、答えを出すべく「問い」はやっぱり常にあるようで、今日聞けたその彼の現在の「問い」が、今のスポーツ経済学のいわば頂点、来るとこまで来た「問い」なのかな?なんて考えた。
でも、そんなスポーツ経済学界のトップの人間の話を聴けたからこそ、経済学的な考えだけで考えては絶対に危ないって思った。
「経済学を学ぶ人間って、何もかも経済学的に物事を見てしまう傾向にある」という事を書いている文献を最近読んだけど、それは一理あると思う。
でも、サッカーの世界はそれだけじゃ無い。社会学や文化、政治も、経済学と同じように大事であると、思った。それが二つ目。
授業の最後の方で、「歴史の浅い東アジアのスポーツリーグは、既に出来上がってしまったヨーロッパや北アメリカのリーグとは違い、まだまだ発展の余地がたくさんあるから、考える価値のある面白いエリアだぞ!」ってステファンに言われた。
果たして何が、誰の為に、一番良いのか?う~ん、これは難しい問題だ。
それにしても、ステファン・シマンスキ教授は凄い人だった。また一人、自分の人生を左右しかねない人間に出会う。
バークベックに入って、たくさんのカリスマ達と出会い、刺激を受ける。そういったカリスマ一人一人が、授業を聴いている学生(人間)にどれだけの影響を及ぼしているか、社会にどれだけ貢献しているか。。。
おっと、いけない、また経済学的な考えになってしまった。


