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2007年02月07日

結果の不確実性は一体どれくらい必要なのか?

先週に引き続き、「今夜は独りぼっちで暇だったから呼んでくれて嬉しいよぉ」なんて言いながら、今回のSport Economicsの授業にもシマンスキ教授が来てくれた。今日の授業はスポーツリーグのCompetitive balanceについて。

今夜はアーセナルのエミレーツスタジアムでポルトガル代表対ブラジル代表の親善試合があったので、授業を欠席する生徒も何人かいたが、かなり迷ったけど俺はちゃんと授業に出席してきました。

まあ、試合当日や前日でもチケットが取れるだろうと目論んでいたのに、実際は完売になってしまいチケットが取れなかっただけなんだけども。親善試合なのに完売になるのが凄まじい。。。


スポーツリーグを面白くする為、スタジアムの観客数(需要)を高めるには、試合結果やリーグチャンピオンの不確実性が(ある程度)必要だと、一般的にスポーツ経済学では言われている。

その不確実性が無く、例えば試合始まる前から結果が分かってしまうような、シーズンが始まる前からリーグ優勝クラブが予想出来てしまうようなスポーツリーグだと、面白味が減り、需要は下がり、観客数も減るという理論だ。

だから、その不確実性を維持する為に、クラブ間の力の差を広げない事が重要になってくる。そのクラブ間の力のバランスを、Competitive balanceと言えばいいのかな。competitive balance(以降CB)が高ければ高い程、クラブ間の力の差は小さく、つまりは試合やリーグ結果の不確実性が高まるということ。

これが一般的なセオリー。

その理論から言うと、試合の不確実性が仮に50%50%だった場合に需要が最大限になる事になるが、実際にはそんな事は起こりにくい。なぜなら、サポーターは自分のクラブに是が非でも勝って欲しいので、確率が50%以上になった方が試合を観に行きたくなる。中立的な立場の観客の数を比べてみれば分かる。

需要は、勝率確率が70%になった時に最大になり、70%を越えると今度は下がってしまう、とステファンは言ってた。

でも、仮に需要を観客数とだけ考えた場合、この需要に影響をおよぼすのは結果の不確実性やCBだけで無く、他の要因も関わってくる。実際、CBが低い、つまりクラブ間の差が広がっていると言われているイングランドのプレミアリーグの観客数は、年々鰻登りだった。

それに、このCBの計り方も重要になってくる。アメリカのスポーツリーグから始まったこのCBの計り方は、統計学で使用される勝率の標準偏差を用いられる事が多い。

そもそも、なぜアメリカからこのCBという概念が生まれたかと言うと、ドラフト制度、選手の給料の上限、収入分配、選手移籍の規制など、談合とも言える一般のビジネスで言ったら違法とされる行為を正当化する為の理由作りを考えた結果らしい。

もっと言えば、これらの制度。1876年に初めてアメリカでプロ野球リーグが始まり、1879年に初めての制度が導入された時には、「利益を上げる為。リーグのクラブ皆が潤えばそれでいいじゃん!」というのがその制度導入の理由だった、しかしその後「これは違法である」とシャーマン条例で指摘されてしまい、困ったリーグ界は他の理由探しをし、「CBを高める為」という上手い理由を作ったというわけ。

プロスポーツの発祥の地、アメリカは、リーグを発足する時に経済学的な考えでリーグ構成を考えた。その結果、昇格降格の無い閉鎖的なリーグシステムになったり、それらの制度が今現在も導入されている。

逆に、ヨーロッパは経済学的な考えをアメリカ程考えなかったので、現在のようなオープンなリーグになっている。その違いについては、「機会は均等で成果はバラバラ」で実は昔にちょっと書いていたなぁ。。。懐かしい。

アメリカのスポーツリーグは、これゆえCBが高いはずである。

でも、この標準偏差を使うと、実はヨーロッパリーグの方が、アメリカンスポーツリーグよりもCBが高い。だから、このCBの計り方も実はまだ何が一番良いかは分からないみたい。

経済学は人々の満足度を満たす事を考える学問である、と先週書いたけど、ではCBが高い事、試合の不確実性があることは、果たしてファンの満足度を満たす事に繋がるのだろうか?

そして、もっと前にさかのぼるけど、アメリカのリーグのようにサッカーリーグ(クラブ)全体が利益の上がるものになる事が大事であると言ってきたけど、果たしてそれはファンの満足度を満たす事に繋がるのか?

仮に、今プレミアリーグに降格制度をなくしたら、確実にどのクラブも利益を上げる事が出来るようになるだろう。

でも利益が上がらなくても、試合に勝ちさえすればファンは喜ぶ。でもでも、利益をあげないで仮に赤字続きで破綻してクラブが消滅したり、降格したりしてしまっても良くない。でもでもでも、経済学的に考えて、経営破たんさせない為にシステムを変えたとしたら、勝利へのインセンティブが無くなりファンとしても、選手としても、面白味に欠けるようになってしまう。

だったら、安定した経営が出来る様なリーグ構成や制度を考えつつ、常に勝利へのインセンティブがどのクラブにもあるような競争率のあるものにもしないといけないのかな。

結局、スポーツ経済学って、「何が、誰の為に良いのか?」という疑問を常に問っているものなのか。

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「Yamatogokoro.com」は、イングランドのサッカーセミプロリーグ(通称ノンリーグ)でプレーしながら、ロンドン大学バークベック校修士課程にてスポーツマネジメント&サッカービジネスを学ぶ著者による「イングランドサッカー留学日記」です。スポーツ、またはサッカーをピッチ上(選手として)とピッチ外(学問、ビジネスとして)、そして一ファン(消費者として)からの視点で語っています。続きを読む・・・。

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これは2007年02月07日 01:08に投稿された日記です。

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