今日のスポーツビジネスセミナーはUniversity College DublinからSeamus Kelly氏と、Centre for Research into Sport & Society, University of LeicesterからDr Ivan Waddington氏を迎えて行われた。お題は、“Abuse, Intimidation and Violence as Aspects of Managerial Control in Professional Soccer in Britain and Ireland.” という、要はサッカーチームマネジメントの虐待について。
イングランドのサッカーは、暴力的な行為と、口でのののしり(放送禁止用語のFワード)は切っても切り離せない関係にある。一度グランドの中に入ったら、グランド外とは打って変わってFワードの言い合い、罵声の飛びあい。
このFワードって日本語には、訳せる事は出来るけども、その的確なニュアンスが無いと思うので何とも説明出来ないけど、親の前では絶対に言ってはいけないような言葉という感じかな。
イングランドのサッカーって面白い。一度グランドの中(チェンジングルーム含め)に入ったら、監督の行為や態度がグランドの外とは急変してしまう。でも、どれだけ怒鳴られても、一度グランドの外に出てしまえば、普通の同等な人間同士に戻る。その辺は、オンオフがはっきりしているといえる。
とりあえず、イングランドのサッカーとこのFワードは切り離せない。サッカーでは、そんな親の前では絶対に言ってはいけないような言葉を全員使うし、ある意味使わなければやっていけないし、使う事が出来るという何とも面白い空間。
特に、ハーフタイムの時なんかの監督からの指示というか、罵声というか、お叱りは凄い。これはプレミアリーグから、ノンリーグまで大体どこの監督もこんな感じと思ってもらって構わない。このFワードを言われる事に対して、俺もイングランドに来た当初は慣れるまで本当に戸惑った。
ちょっとこの動画を見てください。これは、あるイングランドのプロサッカークラブのハーフタイムの風景。(放送禁止用語のオンパレードなので、要注意!)。
元ネタはここ。(熱気で最後の方になるとカメラが曇るのがウケル)。
興味のある方はもう一発(パート2)どうぞ。
元ネタはここ。
まさに、イングランドのサッカーってこんな感じだ。選手をこんな感じで(言葉による。時に肉体的に)虐待をする。これは貴重な映像だと思う。チャンジングルームで何が起こっているかは、外の人間には分からないところなので。
さて、セミナーの本題だけども、この虐待は他のどんな産業でも起こりえない事なのに、なぜサッカーだけはこれが暗黙に認められているのか?というところ。もし、こんな事を他でやったら、まず間違いなく監督は首を切られるだろう。
特にイギリスはこの辺りのabuse(虐待)についてはとても敏感なだけに面白いところ。
この映像はちょっと古いし、大袈裟と思うかもしれないけども、今日のゲストスピーカーの方々のリサーチによれば、現在のプレミアリーグでも、「クリケットのバッドで選手を叩く」監督や「飲み物のボトルや塗り薬のビンを投げつける」監督もいるんだって(名前は出せないけども)。
サッカーの監督のこういう行為はとても特殊といえる。そして、そのルーツはビクトリア朝時代にまでさかのぼるんだって。その頃は、こういうleaning by doingが主流だったよう。要は、その伝統がサッカーの世界では興味深い事に今でも生き残っているという事。
そこで俺はふと思った。そういえば、日本もちょっと前までは同じような感じだったなぁと。日本の伝統的な「部活」は、どこもこんな感じだったと思う。先生から口である意味虐待され、時には体罰も平気で行われた(実体験)笑。
でも、今となってはそれも昔になっていると思う。全体的に先生(サッカー部の監督)は昔ほど怖くないし、体罰なんてしたらそれこそ大問題になりかねないので、無くなって来ていると思う。
イギリスも日本も、スポーツは初め、生徒を「精神的、肉体的に鍛え上げる為」に学校に導入されたけど、イングランドでは今でもその当時のスタイルが残っていて、日本では消えかけている。
この違いは一体何なんだろう?
俺が一つ考えたのが、サッカーの行われる場所。
イギリスでは、その後クラブスポーツ主体になって、学校でのサッカーは主流じゃなくなった。サッカーは学校外のスポーツクラブでプレーされるようになった。一方、日本では今でこそクラブスポーツは増えてきているけども、学校でのスポーツ、要は部活、が主流。
だから、イングランドでも、学校内では先生もこのような虐待は絶対にしていない。日本はサッカーが学校内でプレーされているだけに、親からの苦情とかなんとか、時代の流れとかもあって、消えかけてきているのかなぁと考えた。
だからその質問を、セミナー終わってからしてみたんだけど、返ってきた答えは、「それはあなたが博士課程で調べ上げなければいけないことじゃ!」って上手く逃げられて終わった。
その日の帰り、韓国人クラスメイトのジューンが、「全然マシにはなってきているけど、韓国ではイングランドより酷いぜ」って言ってた。韓国でも、スポーツは学校で行われるのが主流なだけに、俺の仮説はあまり合ってないのかな(笑)。
ただの時代の流れなのか、それとも他に何か要因があるのか、凄く興味深いところだ。。


